公益社団法人 北海道国際交流・協力総合センター
HIECC/ハイエック(旧 社団法人北方圏センター)
Hokkaido International Exchange and Cooperation Center
公益社団法人
北海道国際交流・協力総合センター
Hokkaido International Exchange and Cooperation Center (HIECC)
北海道国際情報ネットワーク
道内企業のグローバル化を支援するため、企業等から5名の参加を得て11月10日より8日間の日程でベトナム及びタイを訪問し、道内進出企業や現地大学、日本語学校等の視察を行うとともに現地で活躍する関係者との意見交換を行いました。以下、主な訪問先と概要について紹介します。
【ベトナム(ハノイ)】
JETROベトナム訪問(11/11)
2024年ベトナムの一人あたりGDPは4, 636ドル(日本の1/7程度)であるが、スマホなど電子機器の輸出が好調で、直近では年間7.4%の経済成長率となっている。貿易相手国は輸出、輸入とも中国が最大となっており、トランプ政権による米中貿易摩擦の影響により、今後も中国企業の進出が加速し、経済に好影響がもたらされることが期待されるとのこと。日本からの投資は製造業と飲食が上位を占めているとのことであった。
三井住友銀行ハノイ支店訪問(11/11)
1994年にホーチミン、2008年にハノイに支店を開設しており、2024年現在で303名の従業員となっている(うちベトナム人スタッフ8割程度)。
2024年5月現在で、ベトナムへの日系企業進出数は2,036社(日本商工会登録)となっており、基本的には企業の進出支援、貸し付けなどを行っているが、ベトナムVPBankと業務提携し、消費拡大が見込まれている中間所得層にも対象を拡大する方向とのこと。
ニトリファニチャー訪問(1/11)
ハノイ市街から南東に20kmほど離れた、クアンミン工業団地最大の工場で、4万8,000坪を超える広大な敷地にある同社を訪問。ニトリの自社工場としては、ベトナムに2カ所、タイにカーペット工場があり、本工場には約5,000人の現地従業員が働いており、女性従業員が約90%を占めているとのこと。5時30分から21時40分までの2勤交代制で交代時間には工場前には長蛇の列ができるとのこと。
同社では帽子の色分けで各スタッフに明確な役割を与えて、働きやすい環境を提供していることで離職率はわずか数%とのこと。
工場見学では、広い工場内をカートに乗って移動しながら、製造工程を見学させていただき、リードタイム短縮のための取り組みや人材管理の様子など説明をいただいた。
VINAMEX ヒューマンリソース社訪問(1/12)
日本語学校(兼送り出し機関)である同社を訪問。同社では企業からのニーズに合わせて語学(N5レベル)や職業訓練を行っており、設立以来20年間で約3,000人を送り出し、日本が一番多く2,000人となっている。ただし、コロナ以降は金銭面の理由などから日本から中国へ人気が移行してきているとのこと。日本の需要としては、食品加工や農業分野が人気とのことであった。
ベトナム日本人材開発インスティチュート(VJCC)訪問(1/12)
日本とベトナムの両国政府合意のもと。JICAと外国貿易大学が協力し設立された国際人材育成機関。同協会では日本式の経営を学ぶ「経営塾」を開講、人事・生産管理に精通した経営者を養成し、人脈や国内外の企業とのパートナーシップ構築を行っているとのこと。
JICAベトナム事務所訪問(1/12)
ベトナムでは、一人あたりGDPは2005年の約700ドルから、2022年には約4,164ドルへ約6倍増加し、中所得国と位置づけられている。日本に派遣される技能実習生は2019年には年間10万人ほどであったが、2023年には8万人、2024年には6万人と減少しており、代わりに中国が増えているとのこと。要因としては、円安による金銭面や、言語(中国語はベトナム語と発音が似ているとのこと)、また実習生が業種を選ぶようになったことなどが挙げられる。JICAでは、VJCCや日越大学の支援を通じて、ITなど高度人材の育成にも力をいれるようになってきているとのことであった。
日越大学訪問(1/12)
ハノイ市街地から30kmほど離れたホアラックハイテク工業団地内に位置する日越大学を訪問。同大学は、日本の支援により、ベトナム国家大学ハノイ校に属する7番目の大学として2014年に設立。2017年に修士課程を開設し、東京大学はじめ日本の大学がカリキュラム作成や教員派遣で協力しているとのこと。
キャンパスツアーでは、現在建設中の各研究ラボや学生寮などを見学した。将来的にハノイ市内(ミーディン地区)にあるサテライトキャンパスと統合し、6000人規模の学生を受け入れる総合大学庁舎を完成する予定とのことであった。
また、学生5名に参加していただき、当方団員からの北海道紹介プレゼンを聴講いただき、学生と一緒に夕食交流会も行った。
【タイ(バンコク)】
JETROタイ訪問(11/14)
2023年タイの一人あたりGDPは7,337ドル(日本の1/5程度)、ASEAN域内では、シンガポール、ブルネイ、マレーシアに次いで第4位で、直近では年間2.3%の経済成長率となっている。
日本への観光客数が国別で第6位と多くの観光客が日本へ訪れていることからも親日的な国民性。JETRO調査による2013年3月時点の日系企業は5,856社(3年前と比べて412社増)で、非製造業の進出が多くなってきているとのことであった。
北洋銀行バンコク事務所訪問(11/14)
北洋銀行では2カ所の海外事務所を設置(バンコク、上海)しており、海外事務所では、営業行為は行っておらず、現地情報収集・提供やマーケティング支援を行っているとのこと。タイでは以前は自動車など製造業の製造拠点として多くの企業が進出していたが、タイ国内の自動車ローンの審査厳格化や、中国のEV車の攻勢により、以前ほど日本の自動車が売れない一方で、日本食レストランの増加が著しい状況とのことであった。
どさんこプラザ視察(11/14)
バンコク最大級の複合施設「ICON SIAM(アイコンサイアム)」内にある北海道のアンテナショップ「どさんこプラザ」を視察。食品や土産品など道産品が販売されており、富裕層向けに高価な品揃えも多く、自治体のアンテナショップとしてはトップクラスの売り上げとのこと。
フォーチュンクロスタイランド社訪問(11/14)
道内からの進出企業訪問として、バンコク市街から40kmほど離れたサムットプラカーン県にある、フォーチュンクロスタイランド社を訪問。同社はパワーウインドウやスライドドアなどに使用される自動車用モーターシャフト等を製造しており、日系企業を中心に各国に部品を提供しているとのこと。社員は540名でうちタイ人400名、ミャンマー人140名となっており、ミャンマー人は勤勉な社員が多いことから採用を増やしているとのこと。工場見学では部品の製造・テスト工程や、社員が働く様子など紹介いただいた。スワンナプーム空港近くに工場や倉庫を構えることで輸送コストの削減にもなっているとのこと。
シーナカリンウィロート訪問(11/15)
同大学の日本語学科の授業に参加させていただき、交流を行った。団員から北海道紹介プレゼンを行った後、学生から「教育制度」「都会と田舎の違い」「食べ物」などのテーマでタイについて日本語で紹介をいただいた。質疑応答では多くの質問があり大いに盛り上がった。
また、当日、タイでは年に1度のロイカトーン祭りの日ということで、大学構内にマーケットや遊具が設置され多くの市民で賑わっていた。学生に案内していただき一緒に屋台で買い物したり構内を散策し、祭りの雰囲気も楽しんだ。