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国際相互理解促進事業報告

2013.02.14

※2013年2月14日付の北海道新聞朝刊10面に載ったコラムに、加筆しました。

 東欧のチョコ工場が見せる行動力

 

 今日はバレンタインデーだ。今から10日ほど前、ある東欧の高級チョコレートメーカー幹部が東京・銀座の百貨店を訪れ、商戦でにぎわうお菓子売り場の様子をじっくり観察していた。品揃え、価格帯、客の動き方。1年後の日本本格進出をにらんだ市場視察である。工場があるのはEU(欧州連合)の東端、総人口わずか220万人のラトビア共和国だ。首都リガから初来日した女性経営者に話を聞いた。

 

 高級チョコブランド「エミルス・グスタフス」は日本では知られていないものの、ヨーロッパ、特に北欧の愛好家の間では人気銘柄という。色とりどりの乾燥ベリーをチョコに合わせた独特のデザインが特徴で、すべて、女性従業員20人が手作りする。大量生産しないことを一つの売りに、スウェーデン、ドイツ、ロシアなど8カ国に出荷中だ。

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 なぜ20人の会社が世界に出る必要があるのか。「その従業員数なら国内市場だけでやっていけるでしょう?」と聞くと、経営者は「それはリスキー」と即答した。曰く、小さな国内市場のみに頼ると、ひとたび景気が悪化すれば経営に大打撃を受けてしまう。「私たちのような小さな国の小さな会社が生き残るには、外国との取引が重要」と言う。

 

 10年の歴史を持つこのブランドが外国市場に出始めてから、実はまだ4年ほどだ。だが、2012年の決算では輸出の割合は6割に達する。国内を含む全売上高は、前期比で10%強伸びる見込みという。不景気のEU圏でこの成長が可能なのは、販路開拓のために8000km離れた外国にも足を運ぶ行動力があってのこと。近い将来には、輸出を9割まで高めたいそうだ。

 

 バルト3国の真ん中・ラトビアは、実は北海道と縁のある国だ。旭川市に名誉領事館があるほか、上川郡の東川町がラトビアの町と姉妹都市提携を結び、交流を続けている。

 

 人口数百万の地元から、食分野で世界へ。東欧の小さなチョコレート工場に学ぶ点は多い。

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 「写真提供:エルミス・グスタフス」

参考:

エミルス・グスタフスの公式サイト

http://www.gustavsgifts.com/eng/

日本版 http://www.emilsgustavs.jp/

 


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